ジルコニアクラウン(オールセラミック)
ジルコニアの特徴
ジルコニアとは、金属元素ジルコニウムの安定酸化物である酸化ジルコニウムの総称です。
強度としなやかさ、美しさを兼ね備えた歯科材料です。
- 強度が高く、割れにくい。
- 金属を使用しないので金属アレルギーの心配がない。
- 変色や腐食の心配がなく、長期にわたって審美性が持続する。
ジルコニアについて
- ジルコニアの3つの結晶系
純粋なジルコニアには単斜晶、正方晶、立法晶の3つの結晶系があります。
2370℃以上の高温で安定な相は立法晶であり、温度の低下に伴い正方晶、単斜晶へと逐次、相転移します。
- ジルコニアの高強度と高靭性について
ジルコニアに酸化カルシウムや酸化マグネシウム、酸化イットリウムなどの安定化剤と呼ばれる酸化物を添加することで、高温相である立方晶や正方晶を室温で安定させることが可能となります。この高温相安定化によりジルコニアは高強度や高靭性を発現でき、安定化ジルコニアや部分安定化ジルコニアなどと呼ばれるようになります。 - ジルコニアのマルテンサイト転移とは
ジルコニアに亀裂(クラック)が生じると、ジルコニアは体積膨張を伴う正方晶から単斜晶に結晶相転移が生じ、亀裂先端に圧縮応力が働くため亀裂の進展を防止します。このようなメカニズムはマルテンサイト転移と呼ばれます。ジルコニアがセラミックスであるのに金属のような挙動を示すことが、ホワイトメタルと言われる由縁でもあります。 - ジルコニアの生体適合性について
ジルコニアはチタンと同程度の生体適合性を有しており、耐食性が高く、体内で科学的に極めて安定しています。
イオンの溶出や細胞への為害作用がないため、人工関節などの医療品としても使われています。
その他にも燃料電池や酸素センター、耐摩耗性を活かした機械部品などにも使われており、熱伝導率も小さいので断熱材としても使われています。 - ジルコニアを用いた製品
ジルコニアにイットリウム、カルシウム、マグネシウム、ハフニウムなどを添加した安定化ジルコニアはキュービックジルコニアと呼ばれ、高い硬度とダイヤモンドに並ぶ高い屈折率を持っています。金属元素の添加で様々な色も得られるため、宝飾品などにも用いられています。
最近では金属に代わる歯科材料として注目されており、加工が非常に難しいため、CAD/CAM等の専用の機械を用いて製作されています。今まで適用できなかった大臼歯部や、ロングスパンブリッジなどのオールセラミックとして使用されています。
ジルコニア製品一覧
ジルコニアポーセレン
ジルコニアフレームの上に、通常のレイヤリング法にて陶材を築盛するタイプです。色調、透明感に優れているので、前歯にも臼歯にも向いています。
ジルコニアフレームの上に、通常のレイヤリング法にて陶材を築盛するタイプです。色調、透明感に優れているので、前歯にも臼歯にも向いています。
フルジルコニア
クラウンそのものをジルコニア単体で製作するので、透明感は乏しいですが、強度があり、また陶材を築盛しない事でチッピングもない製品になります。
主に臼歯などに適しています。
ファインジルコニア
マルチレイヤージルコニアディスクを使用したフルジルコニアです。フルジルコニアに比べ、若干強度は落ちますが透明感もあり、またグラデーションのかかった綺麗な色調をもった製品になります。
前歯・臼歯どちらにも使用できます。